業務請負とはどんな働き方?メリットや具体例などを徹底解説
- 公開日:2021/02/19
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業務請負とは
業務請負は社外の業者へ特定の業務を依頼する業務委託契約のことです。この契約に関する条項は民法第632条で詳細に規定されています。業務請負の契約には「発注会社」「請負会社」および「労働者」の3者が関連しています。発注会社は請負会社に対してプロジェクトを依頼し、請負会社は完成したものを納品するというのが基本的なスタイルです。多くの場合、契約が完了した時点で、発注会社は人件費や運営費などを含めた支払いを行います。例外的な場合を除き、請負会社が追加の支払いを請求することはまずありません。
発注会社から依頼が届くと、請負会社は業務内容を精査して、登録されている労働者の中から適切な資格やスキルを持った人材を選び、業務に関連する指示を与えます。労働者は発注会社に常駐して業務遂行に当たるケースが非常に多いものの、発注会社の指揮系統に入ることは基本的にありません。これが派遣会社を介した人材派遣契約と大きく異なるポイントです。また、請負会社も発注先へ定期的に報告を送るとはいえ、いったんプロジェクトがスタートすると、業務内容やプロセスに関してはすべて請負会社の管理となるため、発注会社から追加注文を受け付けることはないというのも特徴と言えるでしょう。
業務請負の例
業務請負が適用されることの多い事例としては、企業内のシステム開発が挙げられます。発注会社はシステムに求める機能の詳細やシステムを利用する社員の人数およびシステム導入の予定日時などを提示します。請負会社は希望する条件を満たすシステムのプラットフォームを検討し、開発に必要な人数や予算、および作業工程表などの作成を行い、発注会社の判断を仰ぐことになるでしょう。いったん契約が完了すると、請負会社は工程表に沿って作業を進めていきます。発注会社のオフィスへ常駐して作業する労働者もいるものの、その業務内容を監督するのは請負会社となりますから、発注会社の担当者と直接打ち合わせをすることはありません。多くの場合、システム開発後の管理・運用に関しても同じ請負会社が担当することになります。
アウトソーシングを活用する企業がますます増える中で、業種を問わず業務請負の契約が適用されるケースは非常に多くなっています。例えば、工場内の製造ラインをまとめて発注したり、イベントの設営と撤収および警備をパッケージとして依頼したりするということは珍しくありません。また、ドラッグストアなどの店舗で季節ごとの商品棚卸を請け負う契約もあれば、テレマーケティングや調査に関連したコールセンター業務をまとめて引き受ける業者などもあります。最近では、企業の営業部門をまとめて外注するという事例も報告されており、業務請負の需要は引き続き拡大していくことでしょう。
業務請負のメリット
業務請負には、関連する3者すべてにメリットがあります。発注会社にとっては「コストを抑えられる」という点が大きなメリットでしょう。規模の小さな会社で大きなプロジェクトを実行しようとすると、多くの人材を新規採用することに加えて、社員を教育するための設備投資などにも時間と費用が掛かります。業務請負を利用することで、人件費を始めとするコストを大きく抑えることができるのは魅力でしょう。
請負会社にとってのメリットは「集中して業務の遂行ができる」という点でしょう。先述の通り、現場で働く労働者の指揮は常に請負会社が実施します。プロジェクトに関連して注文会社へ逐一確認を取りながら進める必要がないため、常駐先であっても独立したスタイルで円滑に進めることが可能となるわけです。
労働者にとっての大きなメリットは「就業期間の制限がない」という点です。一般的な人材派遣の場合、1人の労働者が同じ職場で勤務できる期間は最長3年となっており、それ以降は直接契約に切り替えるか、もしくは契約満了として離職しなければなりません。業務請負に携わる労働者はこうした規制の対象ではないため、長期間安定して就業することが可能となるわけです。また、発注会社から指示を受けないので、業務に集中しやすいというのも利点でしょう。
業務請負の方法
業務請負スタッフとして働く方法は、基本的に人材派遣会社と同じです。請負会社へ行って登録担当者と面接を行い、保有している資格やスキルなどを伝えます。また、働きたい業種や職種、給料の条件などもまとめて伝えておきましょう。それらの条件に合致する案件がある場合には、その場で担当者から仕事を紹介してもらえるはずです。また、登録日以降に電話やメールで仕事が紹介されることもあります。業務内容や待遇に関して満足のいく条件が提示されたなら、雇用契約をして就業となります。業務請負の場合、案件に応じて契約期間などが大きく異なりますから、自分の希望する働き方に合致しているかどうか、契約書へ判を押す前にしっかりと確認することが大切です。