請負社員、派遣社員および契約社員の違いとは?どんなメリット・デメリットがあるの?
- 公開日:2021/02/19
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請負社員、派遣社員、契約社員の違い
請負社員は請負会社と雇用契約を結び、発注した会社のオフィスや工場で就業します。ただし、業務に関する指示を行うのは請負会社の担当者であり、発注会社から指示を受けることは基本的にありません。給与の支払いも請負会社が行います。契約期間は有限で、3か月ないし6ヵ月ごとに更新するのが一般的です。ただし、請負社員が高い技能やスキルを有している場合には、数年単位あるいはプロジェクトの完了までまとめて契約することもあります。契約が完了し、引き続き請負会社から仕事をもらいたいという意思表示をすると、担当者から別の案件が紹介されるというサイクルになっています。
派遣社員も請負社員と同様のシステムで、派遣会社と雇用契約を結び、発注した会社のオフィスで基本的に仕事を行います。ただ、指揮系統は就業先の企業にあるというのが請負社員との大きな違いでしょう。派遣会社と結んだ契約書に書かれている内容と就業先で行う業務に大きな相違がある場合、派遣社員は派遣会社へ連絡をして業務内容を契約書通りのものへ変更するよう通知してもらうことができます。契約は1か月や3か月ごとに更新するケースが大半です。ただし、1つの企業が同じ派遣社員と連続して契約できる期間は最大3年と規定されており、その期間が過ぎた時点で契約を終了するか、もしくは直接雇用へ切り替えるかの判断を下さなければなりません。登録スタッフの派遣契約が完了すると、派遣会社は就業先からの評価を確認したうえで新しい仕事の紹介を行います。
契約社員は就業先と直接の雇用関係に入るという点で、請負社員や派遣社員とは大きく異なります。ただし、雇用期間は有限で、非正規雇用という扱いになっており、半年ないし1年ごとに更新されるのが一般的です。契約社員として良い実績を残すと、正社員になる道が開かれるというのは大きなメリットということができるでしょう。
正社員との違い
請負社員や派遣社員、契約社員と正社員の大きな違いは「雇用期間」でしょう。請負社員や派遣社員、契約社員は通常「非正規雇用者」と呼ばれており、先述の通り契約期間が有限なので、継続して就業するためには契約を更新していく必要があります。一方、正社員は雇用期間が無期限となっていることから「正規雇用者」と呼ばれます。正社員は基本的に定年を迎えるまで契約を更新する必要がありません。これは正社員として契約する大きなメリットと言うことができるでしょう。
企業の中で管理職となるのは正社員だけです。非正規雇用者は契約期間内にどれほど良い成果を上げたとしても出世は見込めません。これも大きな違いと言えます。また、正社員は交通費の他に、傷病手当や家族手当など、企業が定めるさまざまな福利厚生を活用することができます。一方、非正規雇用者に対して支給されるのは大抵が交通費のみです。請負社員や派遣社員の場合、1万5,000円や3万円など交通費の上限が定められていることも少なくありません。
正社員は賞与や退職金の支給があります。請負社員や派遣社員の場合、契約上は賞与などが設けられているものの、それらはすべて毎月支払われる給与に含まれているため、契約満了時に別途手当を受け取るということはまずありません。契約社員に関しては、賞与が支払われるかどうかは企業によって異なります。また、賞与が支払われている場合であっても、正社員と比較すると支給額の水準はかなり低いのが現状です。
企業側のメリット、デメリット
請負社員や派遣社員、契約社員などの非正規雇用者を登用するメリットは「欲しいスキルを持った人材がすぐに手に入ること」でしょう。業務拡大や退職などによって人材が不足した時や、一定の期間だけ就業者を増やしたいという時に、必要なスキルを持った人材を短時間で補充することができます。その中で優秀な人材が見つかった場合、正社員として直接雇用することも可能です。
一方、非正規雇用者と契約するデメリットは「就業者のモチベーションにかなりの差がある」という点です。特に、請負社員や派遣社員の中にはスキルや豊富な経験を持っているものの、「非正規雇用だから」という思いが強く、企業側が期待したほど熱心な働きが見られないというケースがあります。また、企業が請負会社や派遣会社を介して契約をする場合、就業者への給料と合わせて紹介手数料も支払わなければなりません。ですから、直接雇用よりもコストが高くなることがあるというのもデメリットです。
被雇用者側のメリット、デメリット
請負社員として働くメリットは「仕事に集中できる」という点でしょう。就業先の担当者が介入することはないので、請負会社から受けた指示に従いプロジェクトの完了まで業務に集中することができます。ですから、すでに持っているスキルや技能を存分に生かすことができるでしょう。一方、デメリットは「仕事が決まるまで収入が安定しない」という点が挙げられます。請負会社の提供している案件と登録者の持つスキルがマッチングしない場合、いつまで経っても望むような仕事を紹介してもらえないという事態が生じます。待機期間は当然ながら収入がないので、かなりのストレスを感じることでしょう。
派遣社員として働くメリットは「幅広い業種で経験を積むことができる」という点が挙げられます。派遣会社は幅広い業種および職種の案件を持っています。そのため、正社員として雇用してもらえなかった企業に派遣社員として就業できるというチャンスもあることでしょう。また、仕事内容には満足しているものの、時給などの待遇に関して不満を感じているという場合には、契約更新の際に派遣会社の担当者を通じて交渉してもらうことが可能です。直接就業先の担当者へ話をする必要がないというのは利点でしょう。
一方、派遣社員のデメリットは「不安定な雇用形態である」という点が挙げられます。既述したように、派遣社員として同じ職場へとどまることができるのは最長3年で、正規雇用契約が提示されない場合は必ず離職しなければなりません。どれほど居心地が良い職場であっても、それ以上就業することはできないのです。また、スキルを磨きたいと思っても、3年間でできることは限られています。加えて、契約更新の際に就業先の企業が延長を望まなければ簡単に契約は終了してしまいます。その場合、就業していた期間が短いと雇用保険は適用されないため、突如収入がゼロになってしまうのです。こうした不安定さは非正規雇用である限り常に付きまとうデメリットと言えます。
契約社員として働くメリットは「幅広い業務に取り組むチャンスがある」という点でしょう。請負社員や派遣社員では、契約書に記載されている内容以外の業務を割り当てることができません。一方、契約社員は就業先との直接的な雇用関係にありますから、企業内の様々な部署へ配属されることがあり、多岐に渡る業務内容を担当する可能性があります。ですから、幅広い分野の業務に携わってスキルや技能を磨くチャンスがあるのです。加えて、業務の成績によっては正規雇用契約を結ぶチャンスが広がっています。ですから、非正規雇用の中でもある程度将来性が見込めるという利点があります。
一方で、「企業の業績が低下した時に失職する可能性が高い」というのはデメリットです。契約社員は直接雇用であるとはいえ、無期限の契約ではありません。ですから、企業の売り上げが低下して人員整理を行わなければならないという時、真っ先に声が掛かるのは多くの場合契約社員なのです。残念ながら、良い成果を上げている契約社員であっても、非正規雇用であるという理由から契約更新を断られてしまうというケースは珍しくありません。