日本で搾取されているエンジニアの話
こんにちは、ライジングインターンシップマネージャーの西古です。今日は日本のIT業界に往々として起こっているエンジニア搾取の現状について書きたいと思います。(ここで話すのはあくまで業務改善PJ等の請負ITエンジニアについて言及しています。)
学生時代、海外旅行が趣味だった私は、バイトの給料や時に親に借金をして世界のいろんな国を歩きました。それはバングラディシュを訪れた時のこと。私は尊敬するNGO活動家、渡部大樹さんの設立したエクマットラ*の新しい学校が開校したとの事で、バングラディシュとインドの国境に位置する小さな村にあるエクマットラ・アカデミーを訪れました。(プロフィール画像はその時のものです) ベンガル語(バングラディシュの母国語)を話せない私は、あらかじめこれだけは聞こう思っていた質問を一人一人に投げかけました。
「将来は何になりたいの?」
子供達はキラキラした目で答えます。
「クリケットプレーヤー」
「プロサッカー選手」
「エンジニア」
「医者」
「エンジニア」
「パイロット」
「エンジニア」
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スポーツ選手や、パイロットや医者は日本同様にバングラディシュでも人気の職業のようでしたが、エンジニア、という響きに私は少し馴染みなく感じました。バングラディシュ版、「将来なりたい職業ランキング」みたいなのがあったら、間違いなくエンジニアは上位に食い込むほど人気で夢のある職業なのでしょう。
「なんでエンジニアになりたいの?」
すると、彼らは、
「給料がいいから」と答えます。
ITサービスの新興企業が多いインド・バングラディシュのエンジニア平均所得は、そのほかのセールス職などと比べて4倍程度の初任給を提示している企業が多く見られます。一方日本では、ITサービスリーディングカンパニーでも1.5倍程度です。日本のマーケットではいかにエンジニアとしての価値が評価されにくいかがわかります。
日本の話に戻ります。IT業界だけに限った話をすると、エンジニアは決して子供のなりたい職業ランキングに食い込めるほど給与も明るいイメージを持てる職業とは言えません。日本のエンジニアが食べていけない一つ目の原因は、コミュニケーションコストが大きいことです。ITコンサルタントやセールスエンジニアなどの通訳者がエンジニアの行う技術やそのメリットデメリットの説明を翻訳します。クライアントのリテラシーと開発した技術に乖離が大きければ大きいほど、一般的にコミュニケーションのコストが大きくなります。一般的にコミュニケーションが苦手と言われているエンジニアにとって、ITリテラシーが低いクライアントへの説明は、いきなり英語で説明するくらい難しいことなのだと思います。そういう難しさもあり、セールスエンジニア(顧客のニーズをキャッチして商品説明をするエンジニア)はエンジニア職よりも平均給与が高い、という現象が起こっています。https://engineer-club.jp/sales-engineer また、もう一つの原因は、日本市場に慣れ親しまれた「下請け/ピンはね」の文化が根付いていることです。ゼネコンや自動車業界で多く見られる下請けとして外注し、納期を厳しく設定し、末端のエンジニアは固定給でひたすら搾取され続けるわけです。せっかくの技術があるにも関わらず、このように末端で働くのはもったいないと思いませんか?もしこの記事を読んでいる人の中に将来エンジニア職としてキャリアを積みたいと考えている方がいればここから書くことをよく考えてみてほしいのです。
1、技術(スキル)のみの人材は搾取され続ける可能性があること
2、大きな組織の末端として働くのはエンジニアとしてのスキルアップに制限をかけてしまうということ
特に①について
エンジニアとしてスキルがあるだけでは、日本のマーケットで生きていけません。(天才エンジニア集団が集まるようなクローズドな会社を除く)ぜひ、スキルと同時に、コミュニケーションやセールス、ファシリテーション、事業の企画・立案、マーケティング知識など包括的なスキルを身につけた方が良いでしょう。優秀なエンジニアは多く存在しますが、上記のスキルを身につけた「鬼に金棒」のエンジニアになってください。ライジングのインターンシップでは、エンジニアとしてのスキルを学ぶだけの環境でなく、上記のスキルも同時に身につけられるような環境/制度設計をしていきます。就職を控えた学生に金棒を持たせる、ライジングのインターンに挑戦し、同じ方向を見た仲間と共に成長を続けることで、また見えぬ新しい世界が見えてくるはずです。
ライジングWebマーケティング部門では学生インターン生を積極的に採用しています。プログラミング未経験者もOK!すでにプログラミングを習得している方も事業の立ち上げにて複数のスキルを学び、アウトプットしていく環境が揃っています!!
(ウェブ総合職のインターン生たちの様子@烏丸御池オフィスビル)
*エクマットラは日本人の渡辺大樹さんが2003年に立ち上げたNGO。バングラディシュにおよそ100万人いると言われているストリートチルドレン(身寄りがなく路上生活をする子供たち)に基礎教育、社会性、高等教育や技術訓練を与え、社会で活躍できる人材を育てるNGO。活動資金は寄付のみに頼らず、団体内で複数の事業を展開し活動資金に充てている。