在宅勤務における心理的安全性と生産性の相関関係について考えてみる

こんにちは。クリスマス・イブに寂しく本コラムを執筆している西古です。

今日も新型コロナウイルス感染者は過去最多を更新しました。収束するまであと何回「過去最多」を更新するのでしょうか。

京都の感染者数も日に日に増えて行きていますが、ライジングのインターン生たちには、今年いっぱい

在宅勤務が導入されています。

在宅勤務、皆さんどうでしょうか。管理職の人ならスタッフの生産性が気になります。そして一般社員なら、会社が倒産しないか?リストラに合わないか?出勤してない間に居場所が無くなっていたらどうしよう。そんな不安を抱えながら仕事をしている人もいるかも知れません。

そんなお悩みに「心理的安全性」というキーワードで書いてみました。

そもそも「心理的安全性」とは?

「心理的安全性」という言葉はハーバード大学で組織行動学エイミー・エドモンソン博士によって定義され、「チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっている状態であり、チームは対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」の事を言います。

そしてエドモンソン博士は組織の恐怖を以下の4種類に分けました。

  • IGNORANT(無知だと思われる不安)
  • INCOMPETENT(無能だと思われる不安)
  • INTRUSIVE(邪魔をしていると思われる不安)
  • NEGATIVE(ネガティブだと思われる不安)
👉
文化祭でクラスの出し物を決める時に、「お化け屋敷がやりたい!」と言い出したA君は心理的安全性が高く、実はたい焼きを焼きたかったけど、なかなか言い出せなかったBくんにとっては心理的安全性が低かった。と言った具合でしょうか。

ここで言うBくんは、どの不安に陥っていたのでしょうか。

Bくんは皆に否定される事が怖い、INTRUSTIVEな状況だったのかも知れません。

これは組織における行動学の分野ですから、会社組織との関係性についても何かしら関係がありそうです。

 

Google先生:「心理的安全性と生産性は相関していますよ。」

Google社は2012年に「プロジェクト・アリストテレス」を発足し、心理的安全性と企業組織の関係について大規模な調査を開始しました。

自分が考えたことや意見を恐怖感なく発言できる人やチームは労働生産性が高いという仮説。

👉「いやいや、Googleってあの天才エンジニアたちの集団でしょ?発言なんかしなくてもコード(行動)で示す!!」

答えはNoです。

結論として、プロジェクト・アリストテレスでは、心理的安全性を確保された社員やチームは、生産性が高いと発表しました。OECD加盟国の中で最低水準の生産性と言われている日本のホワイトカラーですが、確かに日本の学生生活を思い返してみると、なんとなく関係しているような気もします。(社会科学の権威の方、研究お願いします。)

心理的安全性を一般社員レベルが求めるのは、世代や業界が違えば「甘えた考えだ」「場数が足りないから不安は当たり前」などと言う声が上がる一方で、世界に12万人以上の社員を抱えるあのGoogle社が4年以上もの歳月と予算を費やして発表した成果に耳を傾けた日本企業の経営者は多いでしょう。

 

在宅勤務と「心理的安全性」の関係は?

さてコロナ禍です。

在宅勤務環境下に置かれる「リモートワーカー」は、心理的安全性にどのような変化があるでしょうか。

リモートワークの3つの特徴を踏まえて考えてみます。

①会社に行かない ②オンラインミーティング ③生活と仕事の垣根がなくなる

👉ここからあえてネガティブな事を言います。 ※在宅勤務によって、心理的安全性が高まる部分もたくさんあると思います。

①会社に行かない

会社に行かないことで、顔を合わせる人間が極端に少なくなります。別部署だけど挨拶だけする人や同時にコーヒー休憩をとる同僚との世間話。部長の文句・・・。そういう何気ない会話は比較的「心理的安全性」の高い会話と言えるかも知れません。会社に行かず同僚と会話しないということは、職場という比較的心理的安全性の脅かされやすい組織において、数少ない心理的に安全なイベントを失った状態とも考えられます。

②オンラインミーティング

オンラインミーティング増えましたね。

「ぼーとしていた時に急に指名されて、何を話していいかわからなくなった。」という経験をした人もいるかも知れません。私の主観ですが、オンラインミーティングはその場の雰囲気を掴みづらく、その人が怒っているのか、疲れているのか、気分が沈んでいるのか、画質が悪いだけなのか、判断しにくいです。普段から相手の顔色を伺いながら話をしているのに、相手の表情が読めない。「裏でなにか言われていたらどうしよう。」それが商談の場ならさらに難しさを感じるかも知れません。

③生活と仕事の垣根がなくなる

仕事は会社でやって、家に持ち込まないという方にとっては仕事を家庭

家族と同居している方は特に大変です。仕事という役割と家庭での役割全く別物のタスクを背負っています。自宅に仕事を持ち込むことで、家族という組織の心理的安全性を脅かされる。そんな状況も起こり得ます。

👉在宅勤務で感じる心理的安全性の驚異(例) 「重要なプロジェクトから外されているかも/リストラされるかも」(INCOMPETENT) 「オンライン会議、話しを切り出せない」(INTRUSTIVE) 「悩みを相談出来る仲間が居ない」(NEGATIVE) など

心理的安全性という課題は、組織文化と関わっている

いかがだったでしょうか。もう少しこの話題をきちんと検証したいところです。

会社組織のことを書いていたのですが、心理的安全性の定義を見ていくと学校組織で感じていたあのやり辛さを思い出しました。「日本人は本音を言わないことに美しさを感じる」など言われますが、美しさと同時に安全性と生産性を失っているのかも知れません。日本全体の生産性と深く関わっているのでは?という壮大な仮説もありますしどうか優秀な研究者の方に検証していただきたいところです。そして、次書くときまでにはHow toのところ(どうやって心理的安全性の高いチームが作れるのか?)というテーマを深掘っておきたいと思います。

それでは。

参考記事:

https://mitsucari.com/blog/psychological_safety_research/

https://www.dodadsj.com/content/190318_psychological-safety/